平成29年2月21日 海外人材をサービス業へ

平成29年2月21日 海外人材をサービス業へ

2017年02月21日(火)11:46 AM

内閣府は訪日客の急増に対応するため、通訳や調理師らサービス業に携わる外国人が国家戦略特区で働きやすいようにする。特区ごとに対象とする職種を絞り込み、仕事に就くのに必要な在留資格(総合2面きょうのことば)を得るための実務経験や学歴などの条件を緩める。地域のニーズに応じた外国人の就労を促し、訪日客の受け入れ態勢の充実につなげる。2016年の訪日客は2403万人と過去最高を更新した。宿泊や飲食など関連業界では、外国語に通じた専門人材が常に足りない状態だ。

 

いまは外国人留学生がこうした人材の穴を埋めている面がある。厚生労働省によると、アルバイトで働く外国人留学生は16年10月時点で5年前の2.3倍にあたる20万9000人にのぼる。宿泊や飲食サービス業に限れば、留学生が外国人労働者の56%を占める。政府は主に経営コンサルタントや研究者ら高度な知識と技術を持った外国人を高度人材として積極的に受け入れてきた。ただ、年収や学歴、職歴など高度人材の認定を受けるまでのハードルは高く「専門技術があっても日本で働けない外国人は多い」との声は根強い。

 

内閣府は高度人材の認定を受けていない人材でも、特区で在留資格を取得しやすい仕組みを新たにつくる。短期間で帰国する留学生ではなく、日本に定着する専門人材を確保する狙いがある。対象となる職種は通訳や調理師、ソムリエ、服飾デザイナーらを想定。いまの制度でこれらの資格を取るには10年の実務経験が求められたり、大卒が条件になったりしている。

 

内閣府は特区ごとに設けている会議で、企業などがつくった外国人活用の事業計画を審査する。特区は東京や大阪など都市部を中心に17自治体が指定されており、それぞれ受け入れる職種を決められるようにする。国内外の資格試験への合格実績や国際的な競技会での受賞歴があれば、実務経験などの要件を緩める。例えば外国人が母国で日本語の検定試験に受かれば、日本のホテルで働けるようにするといったケースが考えられる。

 

政府は20年に訪日客を4000万人に増やす目標を掲げている。特区の大阪府は今回の規制緩和を見据え、ホテルや観光、警備で訪日客需要に対応できるグローバル人材の受け入れ拡大を政府に要望している。ファッションなど「クールジャパン」として知られる分野に携わる人材を海外から受け入れれば日本文化に親しむ外国人が増える。外国人の目線で日本の良さを伝えてもらい、クールジャパンの海外展開を後押しする。



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