平成29年3月14日 フリーランス失業に保険 対象1000万人

平成29年3月14日 フリーランス失業に保険 対象1000万人

2017年03月14日(火)4:34 PM

政府は特定企業に属さずに働くフリーランスを支援するため、失業や出産の際に所得補償を受け取れる団体保険の創設を提言する。損害保険大手と商品を設計し、来年度から民間で発売してもらう。政府は契約ルールを明確にしたガイドライン作成を企業に求めるほか、教育機会の拡充も検討。介護や子育てを理由に自宅で働く人も増えており、若年層や女性の多様な働き方を支える。

 

フリーランスは、複数の企業と特定業務で契約したり、個人事業主として働いたりする働き手を指す。IT(情報技術)の進化で米国などでは急増しており、日本でもシステム開発やウェブサイトの制作を手掛けるデザイナーや技術者、翻訳家、ライターなどフリーで働く人が増えてきている。女性の活躍も目立つ。ただ日本では企業の正社員として働いていない人については、社会保障制度が手薄な面がある。契約が満了を迎えると収入が途絶えるといったリスクも大きい。そこで政府はフリーで働く人への支援を手厚くする。柱の一つが所得補償保険の創設。損保大手と専用の商品を開発し、契約がなくなった場合にも所得を得られるようにする。今年発足した業界団体「フリーランス協会」に加入すれば、保険料が最大5割軽減される団体割引の仕組みとする。契約ルールも明確にする。フリーランスの契約条件が未整備の企業も多く、政府が来年度に基準となる指針を作る。報酬額などは仕事を発注する企業が一方的に決定しやすい環境にあるため、契約書の事前締結や望ましい契約条件のあり方などを示す。退職金の仕組みもあらかじめ明確にするよう求める。

 

このほか、優良事業者を政府が認定する仕組みもつくったり、個人の働き手が住宅ローンを借りやすくするよう金融機関に働きかけたり、政府として対応可能な手立てを進める。教育機会の拡充も課題とする。経済産業省が支援策をまとめ、月内に作る政府の働き方改革実行計画に盛り込む。米国ではフリーランスが労働力人口の35%にあたる5500万人規模に達している。日本でも増加基調にあり、クラウドソーシング大手のランサーズの推計によると、副業も含めた広義のフリーランス人口は1064万人に膨らんでいる。



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