平成29年9月15日 働き方改革、服装も

平成29年9月15日 働き方改革、服装も

2017年09月15日(金)2:33 PM

大企業の間で職場のドレスコード(服装規定)をよりカジュアルな方向に見直す動きが相次いでいる。日本オラクルは服装規定を全廃し、伊藤忠商事はジーンズ着用を解禁した。多様な働き方を認める機運が高まる中、働く人の個性を引き出そうと、職場の装いもこれまで以上に変わろうとしている。

 

東京・青山通り沿いにあるIT大手、日本オラクルの本社。最近、ジーンズにTシャツやショートパンツ姿の男女が行き交うようになった。6月に服装規定を撤廃し、社員が思い思いの服装で出社できるようになったからだ。これまでスーツの着用義務こそなかったが、ジーンズやTシャツ、スニーカーは禁止していた。一方でIT業界では、ベンチャー企業を中心にTシャツなど自由な服装で仕事するのが当たり前となっている。「スーツでは浮いてしまう」。社員の声が人事に届き、規定を撤廃した。

 

ルールの変更は風通しの良い職場であることをアピールし、人材獲得に好影響を及ぼす目的もある。若者世代は企業風土や文化、働きやすい環境などを就職の際に重視する傾向が強まっている。人事本部の二見直樹シニアマネジャーは「職場のカルチャーへの注目が高まっている」と指摘する。

 

伊藤忠商事も6月に服装規定を見直した。毎週金曜日には、ジーンズやくるぶし丈のズボン着用も認める。さらに15日から、スニーカー着用を奨励する日も設ける。「楽な格好で仕事をするというのではなく、柔軟な発想力を養うことにつながる」。音頭を取る岡藤正広社長は、服装規定の見直しを生産性向上を目指す取り組みの一環と位置付ける。20年前に始めたカジュアルフライデーよりも、より柔軟な着こなし方を選べるようにした。社内からは「部下との距離が近くなった。」との声が聞かれる。

 

マニュライフ生命保険も服装が仕事に与える効果を指摘する。このほど「毎日カジュアルでよい」との服装規定を新設。金融機関では珍しくジーンズも容認する。

 

慶応義塾大学の満倉靖恵准教授の監修のもと、ギャップジャパンが昨秋、約20人を対象に実施した脳波測定調査では、フォーマルウエアでのストレス度の数値がカジュアルウエアに比べ7割高かった。ラフな服装での会議は相手と打ち解ける突破口を生みやすいという。

 

働き方改革で社員の能力や個性を引き出す企業が増えている。社員の個性を認め、伸ばしていくという企業の姿勢は、働く人の装いからもうかがえる時代になりそうだ。



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