平成28年5月9日 再就職、早期なら手当増 厚労省、失業長期化を回避

平成28年5月9日 再就職、早期なら手当増 厚労省、失業長期化を回避

2016年05月09日(月)3:48 PM

厚生労働省は若年層を中心に高止まりしている長期失業者を減らすため、雇用保険の失業手当を見直す。
短い間隔で再就職する人への手当を2017年1月から引き上げる。失業が長引くほど技能の衰えなどで復職が難しくなる。非正規も含む人々の就業意欲を高め、労働市場への早期復帰を後押しする。

 

増額の対象は雇用保険に加入し、失業手当をもらっている人だ。こうした人たちが再就職した際、手当の残りの給付期間に応じて一括して支払う「再就職手当」を引き上げる。
17年からは失業手当の給付期間を3分の2以上残している場合、手当の残存分を合計した7割相当を再就職手当としてまとめて「一時金」のかたちで支給する。手当の上限は1日5830円だ。現行の6割相当から1割引き上げる。同じく支給期間を3分の1以上残して再就職した場合の手当も、失業手当の合計の6割相当に引き上げる。現行は5割だ。失業手当を受け取っている人は14年度に約47万人いた。このうちおよそ8割にあたる38.5万人が支給期限前に働き口を見つけ、再就職手当を一括して受け取った。再就職すると失業手当とともに、職業訓練などに関する手当も打ち切られる。

 

失業手当の給付期間は年齢や勤続年数に応じ90~360日間。45歳以上60歳未満で勤続年数が20年以上なら、給付日数は最長の330日だ。ただ、こうした失業給付の恩恵をフルに受けようとして失業期間が長くなると、就業意欲や技能の劣化を招き、再就職が難しくなる傾向にある。
IT導入などで労働環境の変化は速い。専門家の間でも再就職手当の積み増しと併せ職業訓練強化などで再就職までの間隔を狭めるよう求める声が出ている。

 

国内の完全失業率(季節調整値)は3.2%と歴史的な低水準だ。ところが失業期間が1年以上の長期失業者は若年層を中心に高止まりしており、15年平均で77万人にのぼる。働く能力と意思があるのに仕事が見つからない完全失業者の35%を占め、所得底上げが難しい。仕事に就くのをあきらめて生活保護などに頼るようになれば社会保障費が増大し、財政の圧迫要因にもなりやすい。雇用改善で企業の人手不足感が強まっており、政府は今回の措置で長期失業緩和と雇用流動化を進めやすいとみている。



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