平成30年9月3日 東大阪「商店街をホテル化」計画

平成30年9月3日 東大阪「商店街をホテル化」計画

2018年09月03日(月)2:24 PM

来年9月にラグビーワールドカップ(W杯)が開催される大阪府東大阪市で、商店街を“丸ごとホテル”にしようという取り組みが進められている。商店街の空き家をホテルの客室、飲食店をレストラン、銭湯を入浴「施設」として利用してもらうというユニークな試みで、商店街側も「商店街の活性化につながれば」と期待している。


同市長堂の近鉄布施駅近くの商店街エリアで計画を進めているのは、大阪市此花区西九条で同様のホテル運営実績を持つ住宅リノベーション会社「クジラ」(同市北区)。同社広報担当の三谷昂輝さんは「商店街は宿泊客に便利なだけでなく、外国人にとっては日本の文化や日常を楽しめる空間にもなる」と話す。

 

同駅周辺の商店街には400以上の店が並ぶが、建物としては小規模な物件ばかり。「客室」に利用予定の空き家に、浴槽はない。こうした課題を逆手にとったのが「丸ごとホテル」の発想だ。将来的には、商店街全体で宿泊者限定の割引サービスなども導入予定という。


商店街側も後継者不足や大型店舗の増加などで、店舗や利用者はいずれも減少傾向。取り組みには、布施商店街連絡会の元光一倫さんも「商店街の活性化に一役買ってくれる可能性は十分にある」と期待する。宿泊する外国人の増加で治安悪化などを懸念する声もあったが、運営側がスタッフを常駐させることで対応する方針だ。


現在整備が進むホテルのコンセプトは、「泊まれる町工場」。宿泊施設のフロント近くの壁には、東大阪市内の町工場に放置されていたトタンを活用した。「ものづくりの町」として知られる同市の魅力を表現した構造とする計画で、今月オープン予定だ。年内には駅周辺の商店街界隈で、さらに1軒のホテルが開業予定という。


アジアで初の開催となる来年のラグビーW杯に向け、国内の盛り上がり不足を懸念する市側の期待も大きい。市花園ラグビーワールドカップ2019推進室の栗橋秀樹室長は、「W杯で東大阪の魅力を世界にPRしたい狙いとぴったり一致するすばらしい取り組み」と絶賛。三谷さんも「将来的には宿泊施設を20店舗ほどまで増やし、W杯開催時にはいろいろなイベントを企画したい」と話した。



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