平成28年7月29日 「すき家」全店長、転勤なし

平成28年7月29日 「すき家」全店長、転勤なし

2016年07月29日(金)4:34 PM
ゼンショーホールディングスは2020年度末までに牛丼店「すき家」の全店長を転勤なしの地域正社員と契約社員に置き換える。地元にとどまれる社員を増やし、パート・アルバイトとして働く若者や主婦の登用を加速させる。やりがい向上や待遇改善につなげて離職を防ぐ一方、採用が難しくなってきている新卒社員は海外事業などに重点的に配置する。すき家の店舗数は約2000店。一部の店長が複数の店を管理しているため、現在約1300人の店長がいる。このうち、勤務する店舗が限定されている契約社員が約700人、転勤のない地域正社員が約300人、転勤のある正社員が約300人で構成している。


21年3月末までにパート・アルバイトなどからの登用も含め、契約社員の店長を1800人に増やすほか、残りの200人も地域正社員とする。いずれも原則転勤はないため、主婦や地元で働きたい若者らが社員として働きやすい。ゼンショーでは14年に過重労働問題が表面化したため、15年から1店ごとに店長を置く体制を目指して、契約社員などの採用を増やしてきた。

パートやアルバイトから契約社員や地域正社員に転換すれば、売り上げ目標や従業員管理などの責任は増えるが、賞与や各種手当も支給されるようになり待遇も改善される。月100時間勤務(時給900円)の場合、契約社員は年収が160万円ほどになり、アルバイトよりも40万円ほど収入が増えるという。地域正社員の場合、1カ月の所定労働時間である165時間の勤務で年収は350万~450万円程度になる。


一方、新卒などで採用している転勤を伴う「ナショナル社員」は入社直後の一定期間を除き、原則として国内店舗の店長には配置しない。出店数を増やしているアジアなどの海外事業へ重点的に配置する。

同社の16年4月の新卒採用数は約70人。これまでは100人規模で採用してきたが、少子化の影響などで例年ほど多くの学生を採用できていない。新卒で採用した人材と地域限定社員との担当業務をすみ分ける。

外食産業では人手不足を背景に、多様な働き方ができる人事制度を採用する動きが広がっている。 「すき家」のように全店長を地域限定の職種にする取り組みは珍しい。


«   |   »

  |  

過去の記事